IT経験者が少ない原因
IT業界に於いて経験者が少ないのは、まさしく私の世代が原因だと思います。
その最大の理由として、昭和時代のITの仕事は、殆どの企業幹部達が女の仕事と位置づけていたからです。もっとも、IBMやIT専門のプログラマー達は別ですが。
当時は、日本を代表する大手家電メーカーさえ、その開発に参加していませんでした。
私が勤めていたゼネコン会社の社長は、建設や不動産の知識だけでなく、当然、経理、経営、または民事から法律全般に幅広い知識を持つ、本当に尊敬する人でした。
しかし、それだけ頭脳優秀で本当に信頼のおける社長でさえ、早くにコンピューターに取組み挫折したと溢しています。
オフィスコンピュータがまだ主流を占めていた時代、コンピューターは専門のプログラマーが開発したソフトを利用しない限り、ただの大きな邪魔な存在で、忙しい企業の幹部達が一朝一夕でプログラムを作ることは難しかったと思います。その為、ひとつのソフトが何十万、または何百万という時代、一般企業が取り入れたアプリは経理ソフト位で、それ以外の活用は考えていなかったのです。
コンピューターが女性の仕事と位置づけていたのは、この辺に起因していると思います。
OAのリース会社は、ひとつのアプリを増やすだけで何十万もの見積もりを提示するし、また今のように簡単にアプリに手を加えることも出来ません。なので、この年代の人達には、おかしな現状があります。
当時、一級建築士や一流大学を出たエリート達の多くが、コンピューターを極端に毛嫌いしていて、逆に私の勤めていたゼネコン会社の下職達の方が、コンピューターを起用に扱っているという事です。
その理由はコンピューターに取り組んだ時期だと思います。
当時のエリート達は、まだOSのない何百万もするコンピューターに取組み失敗し、価格も50万を切るようになったWindows95あたりから取り組んだ下職達のほうがOSやアプリも充実し素直に取り組めたのです。
従って、幹部達が毛嫌いしているコンピューターを、その下の年代の男性社員は、どこか隠れた形で経験していたのです。